暖かい地中海地方が原産のオリーブ。日本では香川県の小豆島が産地として有名です。オリーブは、寒さや霜に弱いため、これまで東北では、栽培されてきませんでした。そんな東北、福島県いわき市で、研究を重ね、いわきをオリーブの一大産地にしよう!と活動しているのが「いわきオリーブプロジェクト」です。いわきオリーブ(株)代表の木田源泰さんと松崎康弘さんにお話しを伺いました。
スペインの空を思い出し、いわきでオリーブ栽培を目指す
オリーブプロジェクトの成り立ちは、実は海から。 地場産品の販売店を運営していた松崎さんが、「何か良い水産加工品が作れないだろうか?」と相談を受け、考えたのがイワシのオリーブ漬け、アンチョビでした。 「結局、そのプランは採用されなかったのですが、オリーブオイルについて色々興味が沸いてしまって、もし、自分たちでオリーブが作れたらどうだろうという想いが強くなりました。」
かつて、スペインで暮らした経験のある松崎さん。ある日、ふと見上げたいわきの空が、スペインの空に似ているように感じたそうです。東北ながら、日照時間が長く、雪もほとんど降らない。ここなら、オリーブが育てられるのではないか。オリーブ栽培に全く縁のなかった松崎さんですが、オリーブプロジェクト研究会を農家の木田さんらとともに立ち上げました。
耕作放棄地をオリーブの森へ
オリーブの栽培は、農家の高齢化や人手不足で作付けができなくなってしまった耕作放棄地を中心に行いました。「農業を盛り上げるためにも、我々が少しでも力となれたらいう想いもあり、増え続ける耕作放棄地にオリーブを植えることにしました。実るまでに5年はかかりますが、オリーブ産業として成長できれば、低迷する農業を変えることだってできるかもしれないんです。」と木田さん。
2009年に市内15ヵ所、500本植えたオリーブは、現在60カ所7千本にまで増えました。 震災を乗り越え、たくさんのボランティアの方々の手を借り、2015年には、オリーブオイルの試験搾油に成功。オリーブオイルの商品化も進んでいます。
オリーブを通して食をもっと豊かにしていきたい
オリーブは木が育ち、実がなったとしても、加工をしないと商品にはなりません。ビタミンEやオレイン酸、ポリフェノールなど、体にうれしい栄養素が多く含まれた美味しくて健康にもいいオリーブを、たくさんの人へどう届けるか。地域の農産物と組み合わせて、地域全体が盛り上がるような仕組みも目指し、松崎さんと木田さんの新たな挑戦の日々が始まりました。
試行錯誤を繰り返し、オリーブオイルやオイル漬け、和のものオリーブオイルやカボスソルトの他、オリーブティーやオリーブパスタなど、どんどん商品の幅は広がっています。
「オリーブはイタリアンのイメージがあると思いますが、実は和食にもよく合うんですよ。ヘルシーなオリーブオイルを通して食をもっと豊かにしていく、伝えていくのが、今の私たちのテーマになっています。」と木田さん。
オリーブの森が広がり、新しい食文化が広がっていくことを目指して、いわきオリーブの挑戦は始まったばかりです。
店舗情報
会社名 | いわきオリーブ(株) |
住所 | 福島県いわき市平権現塚31-5 |
TEL | 0246-23-3447 |
代表者 | 木田源泰 |
販売店
ほるる売店、ワンダーファーム、四倉道の駅、ららミュウ、他