海の幸、山の幸が豊富ないわき市四倉町。各家庭には昔から豊かな恵みを生かした郷土料理が並びました。海の味、山の味、母の味、この素晴らしい食文化と美味しさを多くの人へ届けたいと「くさの根」は生まれました。オーナー新谷尚美さんにオープンから今に至るまでの道のりや商品にかける想いを伺いました。
地元の美味しい魚や野菜を届けたい
「くさの根」は平成11年、「道の駅よつくら港」の前身「四倉ふれあい物産館」で輸入雑貨店としてオープンしました。その一角で、カレーやコーヒーなどの食事を提供。徐々に地元の漁師さんたちが足を運んでくれるようになったそうです。
ある日、漁師さんたちから地元で獲れた魚のほとんどが県外へと出荷されていることを聞かされます。「こんなに美味しい魚をどうして地元の人が食べられないのだろう」。新谷さんは仲買免許を取得し、自ら市場から仲買をするように。お店で新鮮な魚介の海鮮丼を提供するようになりました。地元で採れた新鮮野菜の直売も行い、地域に密着した店として地元の人の憩い場としても賑わいました。
しかし、「ふれあい物産館」が現在の「道の駅よつくら港』に新しく生まれ変わり、気持ちも新たにスタートしたその一年半後に、東日本大震災が発生。大切に育んできた店は、一瞬で全て津波に流されてしまいました。
津波被害から立ち上がり再オープンへ
一時は兵庫の実家に避難をした新谷さんでしたが、居ても立っても居らず半月ほどでいわきに戻ります。戻っても道の駅の再開の目途は立たず、町は混乱状態。
「スーパーも再開できずにいて、とにかく物がなくて皆さん困っているんじゃないかと思い、津波の被害をまぬがれた軽トラで魚や野菜を積んで移動販売を始めたんです。」移動販売はスーパー再開後も続け、買い物の不便な場所やお年寄りなど、地域の人にとても喜ばれました。
移動販売を始めてから半年後、「四倉がまた元気を取り戻せるように」と1階が直売所、2階が食堂というスタイルで店を再オープン。国道6号線沿いということもあり、連日多くのお客さんで大賑わい。地元のお母さんたちの手で作る温かい定食や丼ものは、震災後、多くの人たちの心と体を満たしてくれました。
「福島のお母さんの味」を全国へ発信
平成28年には「地元の郷土料理をもっと多くの人へ届けたい」という気持ちから加工場をオープン。素材はオール福島にこだわり、長年付き合いのある県内の企業と協力しながら次々と新商品を生み出しています。
なかでも、すり身にした白身魚に、たっぷりの野菜とえびや魚介類を練り込んで揚げたいわきの郷土料理「前浜しんじょ」は、県内外の方から好評。山の味、海の味を一度に味わえるいわきのお母さんの手作りの味です。
「四倉で育まれた豊かな食材を全国の人たちに知ってもらいたいですね。そして、地元がもっと賑やかに元気になってくれることが私の願いです。」と笑顔で語る新垣さん。福島のお母さんたちの手で愛情いっぱいに作られた逸品をぜひご賞味ください。
店舗情報
会社名 | 食処 くさの根株式会社 |
住所 | 福島県いわき市四倉町東2-167-1 |
TEL | 0246-32-6460 |
営業時間 | 直売所 8:00~22:00、2階食堂11:00~14:30/ 17:00~22:00 |
定休日 | 月曜日 |
代表者 | 新谷尚美 |
販売店
くさの根直売所、いわき市内スーパー各店、ほるる売店、他