明治初期の創業から150年以上、創業当時の道具と製法で、無添加、無農薬、天然塩にこだわった味噌・醤油を製造する「ヤマブン味噌醤油醸造元」。手をかけ、時間をかけ、心を込めて作るからこそ生み出せるのは、唯一無二の本物の味。頑固なまでに昔ながらの製法にこだわる理由を5代目鈴木勇雄さんに伺いました。
「昔ながら」の製法を追求して
いわき市内郷の小さな蔵元「ヤマブン味噌醤油醸造元」の味噌、醤油は、素材にこだわりを持って料理を提供する料理人や主婦が一目を置く存在。「昔の作り方は理にかなっているんですよ。うちは進化するより、だんだん逆に戻っていくような形で、少しでもいいから良いものを作りたいというのが私の想いです。」と話す鈴木さん。
鈴木さんの醤油作りは、薪で火をおこし、昔からある釜で小麦を炒るところから始まります。「機械を使っていた時期もあるんですが、自然のものと不自然のもの(人工物)がぶつかると、どうしてもそこからダメになるんですよ。だから昔ながらのやり方にどんどん戻してやっています。この作業も教わったわけではなく、こういう風にやっていたというのを聞いて、じゃあ自分でやってみようと思ってやり始めました。最初は、火の加減もわからず何度も真っ黒こげにしましたけどね。機械の方が効率よくできるんですが、こっちの方がムラのない自分の求める醤油が作れるんです」。
寝かせることで醤油の旨味を引き出す『天然醸造』
小麦を炒ると、最初白かった煙がだんだんと青い煙へ変化していきました。これが水蒸気が抜けたサイン。これを砕いて一晩寝かせ、蒸した大豆と合わせて作るのが醤油の素となる麹。これを100年以上も使われてきた天然の木の樽で熟成させていきます。
「天然醸造は、四季を通じて発酵させるんです。春、夏、秋、冬、それぞれ発酵の度合いが異なりますが、そのサイクルで3年、5年と寝かせると塩気が取れたまろやかな醤油になります。流通している醤油は、強制的に発酵させて味を進めるので、足りない部分がたくさん出てきて、それを添加物で補うんですが、昔のやり方で作れば、そういった添加物を全く必要としないとのがすごいと思いますね。」
「本物の味」を次の世代に伝えたい!
「効率のよい製法で作れば、利益率は高くなるかもしれないけど、そこは求める部分じゃない」と語る鈴木さん。炭鉱が栄えた祖父の時代には、近代的に量産する方法を取っていたこともあったそうですが、鈴木さんの代となり、どんどん昔のやり方へと変えていきました。
「原料や仕込み期間、配合、製造工程など突き詰めていくと、結局は昔ながらが素材の味を一番引き出せるんです。家族だけで仕込みをしているため、あまり量は作れませんが、本物の味を次の世代へ伝えていきたいですね」と鈴木さん。素材本来の旨みを活かし、伝統の製法で作られたヤマブンの味噌・醤油をぜひご家庭でもご賞味ください。
店舗情報
会社名 | 有限会社 ヤマブン味噌醤油醸造元 |
住所 | 福島県いわき市内郷御台境町坂下56 |
TEL | 0246-26-2015 |
代表者 | 鈴木勇雄 |
販売店
ヤマブン味噌醤油醸造元、ほるる売店、他