「上野台豊商店」は、親潮と黒潮がぶつかる「潮目の海」を持ついわき市小名浜で、サンマを使った加工品を主に製造しています。郷土料理「さんまポーポー焼き」や小名浜発祥の「さんまみりん干し」を商品化し、小名浜の食文化を再生させたいと様々な取り組みを行う3代目の上野台優さんに、地元小名浜や商品にかける想いを伺いました。
食卓に魚のある風景を取り戻したい
港町として知られる小名浜は、サンマ漁やカツオ漁が盛んで、各家庭の食卓には、夏にはカツオ、秋にはサンマが毎日のように並びました。しかし、震災と原発事故、漁師の高齢化による人手不足が重なり、水揚げ量、流通量ともに大きく下降。上野台さんは、「このままでは小名浜の豊かな食文化を未来へ引き継いでいけなくなるのでは」と危機感を持ったそうです。
思い出の味、小名浜の郷土料理を若い世代にも
実は、子どもの頃は魚が苦手だった上野台さん。そんな子ども時代でも好物だったのが、祖母が作る「さんまのポーポー焼き」でした。サンマのすり身にしょうが、ネギ、味噌などを混ぜ込んで、小判のように丸めて焼いた小名浜発祥の郷土料理で、元々は漁師料理として食べられていました。船の上で焼くとサンマの脂が炭火に落ちて「ポーポー」と音を立てたことから「ポーポー焼き」と名前がついたのだとか。「思い出の味を、魚離れしている若い世代にも小名浜の文化として届けていきたい」と、市内の水産業者、卸問屋、加工業者などの企業と連携し、サンマを使った小名浜の郷土料理を商品化していきました。
美味しさの秘訣は「鮮度」
上野台さんが商品開発にこだわったのは鮮度。小名浜で水揚げされた上質なサンマを24時間以内に加工することを徹底しています。そうすることで、臭みが抑えられ、舌触りが良く、子どもが食べても美味しいすり身になるのだとか。
「今は地元でも「さんまのポーポー焼き」って何?という世代がいるほど、食卓に上がる機会がなくなってしまいました。昔から愛されてきた小名浜の味を家庭料理として復活させていきたいです」。
ポーポー焼きを食べてみると、サンマの旨みが口いっぱいに広がりました。小名浜が誇る伝統の郷土料理をご家庭でぜひご賞味ください。
店舗情報
会社名 | 有限会社 上野台豊商店 |
住所 | 福島県いわき市小名浜字辰巳町33-2 |
TEL | 0246-92-2613 |
代表者 | 上野臺 優 |
販売店
上野台豊商店、ほるる売店、他