長久保食品

いわきの味の代表とも言える「長久保のしそ巻」。創業から変わらない味を守り続け、一貫して手作りにこだわり続けています。懐かしさを誘う香り豊かなお漬物は、ふるさとの味として長年愛され続けています。

 

時間を重ねて愛される「しそ巻」の原点

 

長久保食品は、昭和9年、初代長久保ツネが雑貨商を営む傍らで漬物作りを始めたことからスタートしました。当時は、漬物も各家庭により、手をかけ工夫していることが多かったのだそう。ツネさんも、もっと美味しい漬物を作りたいという想いから、工夫を重ね、たくあん漬けを細く刻み、自家栽培していたしそで巻いたことが、「長久保のしそ巻」となりました。

 

 

店頭に並べると、たちまち評判となり、各地からお客さんが買い求めるようになったそうです。当時は、常磐炭鉱の最盛期でもあり、炭鉱で働く人たちも「しそ巻き」が大好物。ツネさんは、リヤカーを引き、毎日のように炭鉱に届けました。
今でも昔ながらの手作りにこだわり、一本一本丁寧に作られています。

 

 

お客様の思い出を支える仕事に誇り

 

「「長男は親の仕事を継ぐ」のが当たり前だと何の疑問もなく店を継いだんです。ですから、逆に入ってからが大変でした。」と話すのは、3代目篠原福一さん。

 

 

子どもの頃から当たり前のように食卓に並んでいた漬物。その価値が分からず、接客をする中でたくさんの疑問を持つようになったそうです。「全国どこにでも美味しい漬物があるのにわざわざ遠くからなぜそんなにたくさん買うのだろう」。その疑問を解消するために、篠原さんはお客様へ「どちらから来られたんですか?」、「この漬物をどのように使われるんですか?」と質問をするようになりました。

 

思い出の味を、帰省した際に購入して近所にお配りするというお客さんが多く、なかでも一番印象に残っているのが、「炭鉱の生活は楽ではなかったけれど、食卓をみんなで囲み、この漬物が中心にあって、豊かではなかったけど、私にとって思い出に残るいい時代だったんです」というお話でした。
自分が携わっている仕事は、単なる商品を売ることではなく、お客様の思い出を支えている一つなのではないか。「たかが漬物と思っていた家業が、自分が考えているよりもずっと大事な仕事なのだとお客様から気づかせてもらいました。」

 

 

新たな挑戦!「おここさん」を発売

 

主食の多様化が進み、現代では食生活も変化してきました。米の消費量が減るとともに、漬物の需要も減少しています。そのため、若い世代にも受け入れられる工夫と時代に合わせた商品作りにも余念がありません。
2018年、「おここさん」を発売。昔、おばあちゃんが「御香々」を「おここ」と言っていたそう。そんなおばあちゃんが作ったような、懐かしいけれど新しい、優しい酸味のピクルスです。米酢に白ワインを加えたフルーツピクルスと米酢に醤油・出汁をくわえた和ピクルスがあり、ミニトマトやイチゴ、きのこなどバリエーション豊か。今後もどんどん種類を増やしていくそうです。
「地元の新鮮な野菜や果物を使い、これからも手作業にこだわって、旬の美味しさを届けていきたいです。」と篠原さん。老舗漬物店が作る新しいピクルスに期待です。

 

店舗情報

 

会社名 有限会社 長久保食品
住所 福島県いわき市鹿島町米田字南内4-1
TEL 0246-29-6600
営業時間  9:00~18:00
代表者 篠原福一

 

販売店

 

長久保食品鹿島店、ほるる売店、いわき市内スーパー、他