丸源水産食品

福島県いわき市江名。小さな漁港の町で「縄文干し」を作る「丸源水産食品」。数々の賞を受賞し、全国にファンを持つ逸品は、父から3代目佐藤幹一郎さんへと受け継がれ、家族3人で丹精込めて作り上げています。

 

もったいないから生まれた「縄文干し」

 

縄文干し作りを始めたのは、幹一郎さんの父、故佐藤勝彦さん。薩摩揚げ店を営んでいた勝彦さんは、市場で「雑魚」として扱われ、商品にならない魚たちを見ては、「素朴な味で美味しいのにもったいない」と思っていたのだそうです。
規格外というだけで捨てられてしまう魚だが、新鮮で活きがいい。なんとか美味しく食べられる方法はないだろうか。工夫を重ねに重ねて生まれたのが「縄文干し」です。

 

 

新鮮な常磐ものを独自の製法で加工

 

縄文干しは、新鮮な魚を下処理した後、独自にブレンドした調味液に漬け込みます。漬け込みは、一晩冷蔵庫の中で行い、魚のアクを抜き熟成させるのだそう。
その後、干物の常識からは外れ、日に当てて干すのではなく、日陰で風干しし、3日かけてじっくり仕上げるので、魚独特の生臭みがなく、透明感のある美しい干し上がりになるのだそうです。


魚を風通しの良いところに吊るして日陰で干し上げ、保存食にしていた縄文人の知恵と、その当時、いわき市小名浜の三崎公園で縄文時代の遺跡が発見されたこともあり、「縄文干し」と名付けられました。

 

 

「縄文干し」は、昭和61年観光みやげ品コンクールにで第1位県知事賞を受賞。その後も、水産庁長官賞など、数々の賞を受賞し、全国にファンを持つようになりました。
「今ではインターネット販売がありますが、当時は、北海道から沖縄まで、催事で全国へ売り歩きましたよ。」と幹一郎さん。

 

途絶えかけた「縄文干し」を受け継ぎ

 

家業の手伝いをしていた幹一郎さんでしたが、父・勝彦さんと意見の違いから家業を離れ、北海道で就職。インテリア関係の営業を10年間務めたそうです。震災時も北海道にいて、テレビで地元の惨状を知ることとなりました。幸い家族は無事で、自宅と工場は津波被害からは免れましたが、元々老朽化が進んでいた工場は大きなダメージを受けました。その年の12月に父・勝彦さんが他界。「母親を一人残し、このまま縄文干しも途絶えさせてしまっていいのか?」葛藤の末に、幹一郎さんは仕事を辞め地元へ戻り、家を継ぐ決心をしました。

 

 

いわきに戻り、工場の改修から始めた幹一郎さんは、平成28年の秋に奥様とお母様の3人で本格的に作業を再開。約5年ぶりの「縄文干し」の復活となりました。
「父から受け継いだ製法には変わりありませんが、私の代になり、調味液もすべて無添加のものに変えました。以前よりも塩気の角が丸くなり、さらに口当たりが柔らかくなりました。」と幹一郎さん。父・勝彦さんの想いを受け継ぎ、丁寧に作られる丸源水産食品の「縄文干し」は、身がふっくらと柔らかく上品で豊かな味わいでした。

 

店舗情報

 

会社名 丸源水産食品
住所 福島県いわき市江名字北口339
TEL 0246-55-7313
代表者  佐藤アエ子

 

販売店

 

丸源水産、ほるる売店